2年生を中心に、地蔵堂の屋根を修繕しました。具体的にはトタンの切妻屋根を、反りをつけて入母屋屋根に直す工事です。初めての現場作業で、事前に実習場で仮組みをするなど作業確認をしっかりしたうえで工事にのぞみました。
実習実績PRACTICE
実習実績(伝統建築学科)
新潟県佐渡島には、神社267社、寺院281寺、36もの能舞台、古民家等、歴史ある建築物や文化財が現存しています。これは、かつて佐渡の地に身を置いた、鎌倉時代の順徳上皇や日蓮上人、室町時代に能を大成させた世阿弥の影響によるものです。
学校・佐渡市・地元企業が三位一体となって、島に残る豊富な歴史的建造物を、生きた教材として授業に取り入れ、本物を実際に修復・再建する、他校では真似のできない実習を可能にしました。
伝統の島「佐渡」に全国から集まった学生たちは、同じ答えが無い現場実習で試行錯誤しながら、現場力を高めます。
- 仕事の工程・現場の流れが 理解できる!
- 現場にあわせた応用力や対応力が身につく!
- 作業の正確性と責任感、作業効率の重要性が学べる!
- 感謝される喜びと、必要とされる仕事だと実感できる!
就職活動でのインターンシップ時や、社会に出た時に、現場を知り理解できていることは大きな自信となります!
柱の地面設置個所が、風雨により腐朽したため、その部分を撤去し、新しい部材へ取り替える工事です。鳥居の柱も太く、4本の角材を接合し太く丸い柱を製作する作業からスタート。
鳥居の柱は傾斜しており、1本の木のように一直線に柱を繋ぐのが大変難しく、試行錯誤を繰り返し、応用力の問われる現場でした。
地蔵堂を新たに建設するので、測量、基礎工事、製材、建て方、仕上げまで全て学生が手掛け、現場の一連の流れを経験する貴重な実習でした。
地蔵堂という事で内装工事がなく、作業は比較的早く完了することができました。
4カ月間の工期で、測量、基礎工事、製材、建て方、内装、塗装まで、建築の全工程を手掛けた新築工事です。
各工程での段取りや作業内容など実際に全て経験できる学びの多い実習でした。
全てはここからスタート
『佐渡一国義民殿』再建工事 - 佐渡市栗野江(2012年9月~2013年12月)義民殿の再建工事は、学生達にとって初めての大きな工事依頼でした。工期は2年にわたり、卒業した先輩たちから仕事を引継ぎ、完成後は工事関係者だけでなく多くの地域の皆様にも喜んでいただきました。
災害被災地の神社へ寄贈しようと、日本最古の伝統建築の本「匠明」を基に、高さ、幅、奥行きがいずれも1.5m、伏見稲荷大社などに見られる「二間社流造」の本殿を制作しました。
佐渡真野地区にある新町大神宮様。
本殿にある階段部分が経年劣化による腐朽により修復工事を実施しました。
設置する際、壁との距離が狭く、大きな木材を入れ替える際の工事方法に工夫が必要で、工法を学ぶ貴重な現場となりました。現場の調査から始まり、木材の加工、取り替え、全て学生が行いまいした。
本堂の床板の経年劣化とたわみを直すため、床板の張替えと補強工事を行いました。
壁や敷居と高さを水平に合わせるため、床板を1枚1枚かんなで削り厚みを調整するなど、丁寧で正確な仕事の難しさを学ぶ現場となりました。
東日本製鉄所直江津工場様より、チタン板を提供いただき、実技指導を実施いただいたうえで、学生自ら屋根を葺きました。完成した社殿は、日本製鉄株式会社直江津工場敷地内の稲荷神社へ奉納され、遷座祭(せんざさい)には学生も参加しました。
卒業製作「一間社流造本殿」は、応募総数355点より上位賞31点の一つである奨励賞(審査員長賞)を授賞しました。
地域の資源、技、伝統をつなぐ本物を教材とした伝統建築に携わる人材育成の良質なモデルとして評価されました。
2012年9月~2013年12月 | 『佐渡一国義民殿』再建工事 |
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2014年5月~6月 | 『諏訪神社』高欄修復工事 |
2014年7月~8月 | 『二宮神社「能舞台」』雨戸取替工事 |
2014年9月~10月 | 『引田部神社』高欄改修工事 |
2015年5月~2016年3月 | 『事比羅(二見)神社』改築工事 |
2016年6月~2017年2月 | 『圓照寺』山門改築工事 |
2016年7月~8月 | 『中興神社』控柱取り換え工事 |
2016年8月~10月 | 『熊野神社』屋根修復工事 |
2016年11月~2017年1月 | 『金峯神社』階(階段)修理工事 |
2017年4月~7月 | 『熊野神社』鳥居修復工事 |
2017年9月~2018年4月 | 『白山神社』高欄改修工事 |
2018年7月~10月 | 『大崎白山神社』鳥居建替え・社再建工事 |
2019年6月~9月 | 『中興神社』鳥居根継ぎ工事 |
2019年6月~11月 | 『熱田神社』拝殿・本殿修復工事 |
2019年10月~11月 | 『金峯神社』高欄修復工事 |
2020年4月~9月 | 『二間社流造』再現製作 |
2021年4月~6月 | 『薬師寺』階(階段)・柱修復工事 |
2021年4月~12月 | 『一間社流造』本殿二宇製作 |
2021年10月~11月 | 『剛安寺』内陣床張り替え工事 |
2022年4月~7月 | 剛安寺『若一皇子尊社』新築工事 |
2022年7月~9月 | 『香傳寺』地蔵堂屋根修復工事 |
2023年4月~10月 | 『住吉神社』鳥居根継ぎ工事 |
2023年6月~7月 | 『剛安寺』地蔵堂新築工事 |
2023年4月~5月 | 『新町大神宮』階修復工事 |
2023年4月~6月 | 『本行寺』本堂床張替え工事 |
佐渡地域にも貢献!
『佐和田児童クラブ』授乳室床板設置工事
コンクリ面へ床板をはり、使い勝手が良くなるように改良工事を実施。
『両津湊地区』芸山車車軸部分修理
お祭りに使用される山車を修理。春には学生もお祭りに参加し山車を引きました。
『佐和田児童クラブ 遊戯室内』八角パーゴラ設置工事
八角形の構造物外周にそって緩やかなスロープが付き、最後に滑り台になっています。
現場実習以外も豊富な実習
住宅模型マイ・ドリームハウス製作
一年次に、家族構成や周辺環境等の建築条件を基に、図面10数枚に描いたオリジナルハウスを、二年次に「住宅模型」として一人一人製作します。模型にすることで、どんな梁にするのか、屋根はどう掛けるかなど、住宅の構造をより深く理解することができます。二級建築士試験でも製図があり、正確な図面を描く練習も兼ねています。
軒反り模型
「軒反り模型」とは、屋根の軒先が外側に進むにつれて、上へ反り返ったような形になっている模型で、社寺建築でよく見られる屋根の形を再現したものです。綺麗な「軒反り模型」の制作には、木組みや規短術など伝統建築には欠かせない、さまざまな技法を駆使する必要があります。