今回は、
その芸術的な形で、工芸品としても人々を魅了してきた「墨壺」をご紹介!
墨壺
木製で、くぼみの部分に墨を含ませた綿が入っています。手前の糸車には糸がまかれていて、先端には材木に刺すことのできるピンがついています。
糸を伸ばして材木にピンを刺し、材木の上にまっすぐ張られた糸を指ではじくことで、糸についている墨が木に付着し、綺麗な直線を書くことができます。
より頑丈に建てるために!工具としての墨壺
中国が発祥の地とされている「墨壺」。日本では法隆寺の建設などにも使われていたとされています。建設当初の材木の一部に墨でつけられた線が見つかっているようです。
通常、大きな材木に長く正確な直線が引くのは困難なこと。ですが、後世へ残すことを考えより頑丈に建設するためには、正確な線を引くことは必要不可といえます。
そこで「墨壺」の出番!
法隆寺を現代に生きる私たちも見ることができるのは、「墨壺」とそれを使いこなした、宮大工さんのおかげなのですね!
そんな「墨壺」ですが、実は現代建築の分野では使用頻度が下火になっている傾向があります。
技術の発展により、レーザー装置やプラスチック製で管理が簡単な墨壺などで直線を引くことが多いんだとか。ですがSADOではそんな歴史のある道具についてもしっかりと学ぶため、古き良き木製の「墨壺」を用いて作業を行なうことが多いですよ!
鶴に亀、そして龍も?!工芸品としての墨壺
「墨壺」は、その形を縁起物とされる鶴や亀に見立てものや、表面に細かな彫刻を施したものもあり、工芸品としても親しまれてきました。三味線や龍に見立てた墨壺は迫力満点です!
こういった特殊な墨壺は、美術館に展示されたり、オークションサイトに高額で出品されたりしています。工具としては停滞ぎみである木製の「墨壺」ですが、工芸品としてはこれからもまだまだ現役といえそうです!
次回は……
次回の「大工道具を知ろう!」では、裏面では占いも?!
「さしがね(指矩)」についてお話ししていきます。
お楽しみに!(・ω・)/