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2022.03.17 資格取得

(国家資格)建築大工技能士とは?将来性や試験資格、内容などをご紹介!

(国家資格)建築大工技能士とは?将来性や試験資格、内容などをご紹介!

宮大工や大工を目指すにあたり、建築大工技能士という資格を取得しておくと有利です。

自分の技術でさまざまな建築に携われる大工は、モノづくりに興味がある方にとっては、非常に魅力的な仕事だといえるでしょう。また、神社仏閣など歴史ある木造建築に携わるためにも、建築大工技能士の資格は必須です。

今回は、建築大工技能士の資格内容や将来性、試験資格、内容などについて解説します。資格の取得を検討されている方は必見です!

建築大工技能士とはどんな資格なのか

まず、建築大工技能士の資格内容や活かせる場所、大工に向いている方の特徴について解説します

建築大工技能士の資格内容

建築大工技能士とは、木造建築の大工工事に必要な技術を証明するための国家資格です。

各都道府県にある職業能力開発協会が実施する試験に合格することで、資格を取得できます。試験には学科と実技試験があり、両方の合格が必要です。

大工になるために、特別な資格を持つ必要はありません。しかし、木造建築の技術を持っていることを客観的に証明できる建築大工技能士の資格を取得しておくことで、大工への就職、転職時に有利になるでしょう。

建築大工技能士の資格には3級(初級)から1級(上級)まであり、学校で取得できるのは2級(中級)までとなります。2級まで取得していると、より就職・転職時に有利になりますよ♪
※1級を取得するためには実務経験が必須。最長で7年の実務経験が必要です。

 建築大工技能士の資格が活かせる場所 

建築大工技能士の資格を取得した方は、建設会社や工務店に就職して、大工として勤務することが一般的です。木造住宅の建築、修理、建材の加工や取り付けなど、さまざまな木造建築物の業務に携わります。

また、神社や仏閣などの建築や修復を行う宮大工の仕事へも、建築大工技能士の資格を取得することで携われるでしょう。木組みや継手、仕口で納める伝統的な木造建築技法を使うため、高い技術力が要求されますが、それだけにやりがいのある仕事だといえます。

<資格を取得できる学科はこちら!>

 建築大工技能士(宮大工・大工)に向いている人 

建築大工技能士を取得して宮大工や大工に向いている方の特徴は、木造建築や伝統的な工法に興味があることです。また、大工は力仕事も多いので、体力に自信がある方にも向いているでしょう。

一方、大工の業界は、親方に弟子入りする師弟関係の文化も残っているため、年長者とスムーズにコミュニケーションが取れる能力も欠かせません。なお、大工仕事は高いところで実施することも多いので、高所恐怖症の方には不向きといえます。

 建築大工技能士(宮大工・大工)の年収や将来性 

建築大工技能士の資格を取得して大工になった方の年収相場は、300~400万円程度だといわれています。

一方、スキルアップすることで、年収800万円以上になる方もいます。なかには年収1,000円以上の方もいるようなので、建築大工技能士1級の資格や、得した後もさまざまなスキルや経験を積むことが求められるでしょう。

 建築大工技能士(宮大工・大工)の将来性 

木造住宅の需要は一定数あることや、神社や仏閣なども一定程度の維持が必要なため、建築大工技能士のニーズは定常的にあるものだといえます。また、大工の跡継ぎ不足問題などもあり、若い大工への市場ニーズも高まっている状況です。

しかしながら昨今は、木造大工の基本的な技術しか持たない大工では、仕事を取っていくことが難しくなってきています。そのため、二級建築士や二級建築施工管理技師といった資格を、併せて取得することがおすすめです。

大工としての仕事の幅を広げるためにも、建築大工技能士以外の資格を順次取得していくことを視野に入れておきましょう。

宮大工として活躍する卒業生

小松 優喜さん(2022年3月 伝統建築学科3年制卒業)福岡県出身

就職して初仕事が長崎県にある重要文化財の洋館建築保存工事で、現在も別棟を修復中です。今は経験を積むために、実測調査、施工図作成、墨付けまで、自分で考えながらできるよう親方が配慮してくれているので、とても勉強になっています。

建築大工技能士を取得する方法

建築大工技能士の資格を取得するためには、建築大工技能検定試験に受験して合格する必要があります。試験の概要や受験資格、問題、スケジュールなどについて解説します。

 建築大工技能検定試験を受験 

建築大工技能検定試験とは、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定のうち、建築大工の技能を認定するための試験です。建築大工技能検定試験に合格することで、木造建築物の大工工事に必要な技能が備わっていることを、国家資格として証明できます。

建築大工技能検定試験には3級から1級までが準備されており、1級以上の受検には一定の受検資格が必要です。特に1級は大工の中でも上位に位置するため、必要な受験資格のハードルも高めだといえるでしょう。

 建築大工技能検定試験の受験資格 

建築大工技能検定試験の3級から1級まで、それぞれの受検資格を紹介します。

・3級:不問(誰でも受験可能)

・2級:大工としての実務経験が2年以上、または3級の合格者

(ただし、学歴によっては実務経験が不要)

・1級:大工として7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上、3級合格後4年以上の実務経験

(ただし、学歴によって必要とされる実務経験年数が異なる)

1級の建築大工技能検定試験を受験するためには、最大7年の大工としての実務経験が必要なので、普段の仕事と並行しながら取得を目指す方が多いです。

 建築大工技能検定試験の内容 

建築大工技能検定試験の3級から1級、それぞれの試験内容を紹介します。

建築大工技能検定には実技試験と学科試験があり、両方の合格が必要です。なお、どちらか一方だけ合格した場合は、次回受験時に合格したほうの試験が免除となります。

・3級建築大工技能検定(初級)

<学科試験>

建築大工技能検定には実技試験と学科試験があり、両方の合格が必要です。なお、どちらか一方だけ合格した場合は、次回受験時に合格したほうの試験が免除となります。

試験科目 範囲
建築構造 ・木造建築物の種類、および特徴
・木造建築物の構造、および造作
規矩術 ・規矩術の基本
・さしがねの使用方法
施工法 ・木工事施工用の機械、および器工具の種類及び使用方法
・水盛、やりかた、および墨出しの方法
・基礎工事の施工方法
・木工事の施工方法
・木造建築物の養生、および補修の方法
材料 ・建築用材料の種類、規格、性質、および用途
製図 ・木造建築物の施工図の作成方法
安全衛生 ・安全衛生に関する詳細な知識

<実技試験>

試験科目 範囲
大工工事作業 ・水盛り、やりかた及び墨出し
・木工事の施工

・2級建築大工技能検定(中級)

<学科試験>

試験科目 範囲
建築構造 ・木造建築物の種類、および特徴
・木造建築物の構造、および造作
・木造建築物以外の建築物の種類、および特徴
・構造力学の基礎理論
規矩術 ・規矩術の基本
・さしがねの使用方法
・隅の軒回り、四方転び、および木割り
施工法 ・木工事施工用の機械、および器工具の種類、および使用方法
・木造建築工事の施工方法
・仮設工事の施工方法
・水盛、やりかた、および墨出しの方法
・基礎工事の施工方法
・木工事の施工方法
・木工事の関連工事の種類、および施工方法
・木造建築物の養生、および補修の方法
材料 ・建築用材料の種類、規格、性質、および用途
製図 ・木造建築物の施工図の作成方法
関係法規 ・建築基準法関係法令(木造建築物に関する部分に限る)
安全衛生 安全衛生に関する詳細な知識

<実技試験>

試験科目 範囲
大工工事作業

2級 次に掲げる製作等作業試験を行う。

柱建て四方転びの平面図、正面図、側面図及び柱の現寸展開図を作成し、木ごしらえ及び墨付けをした後、加工組立てを行う。
標準時間 5時間30分  打切り時間 5時間45分

2級の実技課題

・1級建築大工技能検定(上級)

<学科試験>

試験科目 範囲
建築構造 ・木造建築物の種類、および特徴
・木造建築物の構造、および造作
・木造建築物以外の建築物の種類、および特徴
・構造力学の基礎理論
・神社、仏閣等の特殊な木造建築物の様式、および特徴
規矩術 ・規矩術の基本
・さしがねの使用方法
・隅の軒回り、四方転び、および木割り
施工法 ・木工事施工用の機械及び器工具の種類および使用方法
・木造建築工事の施工方法
・仮設工事の施工方法
・水盛、やりかた、および墨出しの方法
・基礎工事の施工方法
・木工事の施工方法
・木工事の関連工事の種類、および施工方法
・木造建築物の養生、および補修の方法
材料 ・建築用材料の種類、規格、性質、および用途
製図 ・木造建築物の施工図の作成方法
関係法規 ・建築基準法関係法令(木造建築物に関する・部分に限る)
安全衛生 ・安全衛生に関する詳細な知識

<実技試験>

試験科目 範囲
大工工事作業

1級 次に掲げる製作等作業試験を行う。

振隅木小屋組の平面図、振隅木及び配付たる木の現寸展開図を作成し、木ごしらえ及び墨付けをした後、加工組立てを行う。

標準時間 5時間30分  打切り時間 5時間45分

 建築大工技能検定試験の合格基準と費用 

建築大工技能検定試験の合格基準は厚生労働省によって定められており、100点を満点とし、実技試験が60点以上、学科試験は65点以上ということです。

また、建築大工技能検定試験の受検費用は、都道府県ごとに若干異なります。参考までに、東京都職業能力開発協会における受検費用は以下の通りです。

  令和4年
4/1時点の年齢
実技・学科とも受検(A甲区分) 実技のみ受検
(A丙・C区分)
学科のみ受検
(A乙・B区分)
1級 全年齢 21,300円 18,200円 3,100円
2級 35歳以上 21,300円 18,200円
34歳以下 12,300円 9,200円
3級 35歳以上 21,300円 18,200円
34歳以下 12,300円 9,200円

 建築大工技能検定試験の申込先とスケジュール 

建築大工技能検定試験の受検を希望する場合は、受験したい都道府県にある職業能力開発協会から受検申請書等を取り寄せましょう。必要事項を記入し、窓口へ持っていくか、郵送で申請を行います。

なお、建築大工技能検定試験は、前期と後期、年2回実施されることが一般的です。例年のおおまかな開催スケジュールは以下の通りです。

前 期
実技試験 例年6月~9月頃
学科試験 例年7月~9月頃
後 期
実技試験 例年12月~2月頃
学科試験 例年1月~2月頃

SADOの高い合格率!

2024年1月【建築大工技能士】合格実績

2級94% 3級100%

まずは建築大工技能士3級の取得を目指そう!

木造建築に携わる大工として活躍するためには、建築大工技能士の国家資格を取得することがおすすめです。まずは3級取得を目指し、2級、1級とレベルアップすることに加え、そのほかの資格も取得することで、年収やキャリアアップを実現できるでしょう。

なお、新潟県佐渡島にある専門学校SADOでは、1年次に3級、2年次に2級の検定試験へ挑戦しています。

2024年度の合格実績は、2級が94.4%(新潟県平均47.8%)、3級は100%(新潟県平均79.8%)と非常に高い点が特徴です。

SADOは本物の社寺建築を修復・再建する実習を継続できる環境を持つ、全国唯一の専門学校です。恵まれた環境下で、「徹底的な現場第一主義」で学べる点が、当校の大きな魅力です。

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